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余熱
第7章 火照る

余裕綽々な先生には度々翻弄されたけれど、
かといって、あんなに余裕がなさそうな先生も、
それはそれで心がざわつく。
胸が締め付けられる。
結局、沙月の話も、授業も、全然頭に入ってこないまま放課後を迎えた。
いつもなら祐の部活が終わるまで勉強しているが、どうにも捗る気がしなかったので、窓の外を眺めていた。
すると、体育館の入口の渡り廊下の辺りに祐、と女の子が一緒にいるのを見つけた。
目を凝らすと、その子は祐と同じ軽音楽部で、祐のバンドでボーカルを担当している、長岡 あかねという子だった。
彼女のことは一方的に知っていた。
いや、学年内、もはや学校内で、彼女のことを知らない人はいないだろう。
入学式で新入生代表の挨拶を務め、その後ライブパフォーマンスもやってのけた彼女は、
まるでティーン向け雑誌のモデルのようなルックスと、透明感のある歌声で一躍有名になった。
わたしたち一年生は入学してまだ二ヶ月も経っていないが、
噂では、彼女はこの短期間に10人の男子生徒に告白されたらしい。
そんな長岡さんと祐は向かい合って、長岡さんの方が祐に迫って、何かを言っているらしかった。
ーーもしや、告白?

