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余熱
第7章 火照る

そうだとしたら、大スクープだ。
彼女はその10人の告白を「好きな人がいるから」という、
彼女を想う男子の希望を裏切らない理由で、絶妙に断ってきたのだ。
その“好きな人”が祐だとしたらーー。
祐も客観的に見て容姿が良い。
とてもお似合いだ。
しかも…バンド内恋愛…!
まるで少女漫画のワンシーンを見ているかのような気分で、ドキドキしながら様子を見ていた。
すると、長岡さんが祐にぐっと近付いたかと思うと、
二人の唇が、重なった。
ーーわ、わー…!
心臓がばたばたと音を立てる。
思わず口に手を当てると、顔が火照って熱くなっているのが分かった。
長岡さんは、ゆっくり唇を離し、背伸びして少し浮かせていたかかとを下ろした。
そして、祐の手を握って何か言うと、走ってそこから去っていった。
か、可愛い…。
あんな可愛いことされて、落ちない男子なんているんだろうか。
女のわたしでさえ、きゅんとした。
そう思って祐の様子を見ると、
手の甲で唇を拭い、何事もなかったかのようにその場からすたすたと去っていった。
う、嘘でしょ!?
落ちない男子がここにいた…。

