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余熱
第1章 崩れる

その瞬間だった。
波のような何かが、ものすごい速さで押し寄せ、
予感のような何かを、激しく打ちつけ、
砂で一生懸命作ったお城のような何かが、一瞬にして崩れた。
心臓も、呼吸も、全部その一瞬で止まった。
時間だけが辛うじて止まらず、極めてゆっくりと流れた。
体の奥はぼうっと熱を帯び、息苦しくなった。
熱い、苦しい――。
「…はい、このタイプの問題は…」
ふっと現実に引き戻された。
途端に、止まっていた分を取り戻そうと、心臓も呼吸もせわしなくなる。
じわりと衣服の内側に汗が滲む。
何これ…
一体何が起こったというの…?
授業は全く耳に入ってこなかった。
帰宅してそのまま自室のベッドに倒れ込む。
体の奥の熱が消えてくれない。
あれからもう1、2時間は経っただろうに、まだ熱い、苦しい。
制服を脱ぎ、裸になってみる。
それでも、まだ。
風呂場へ行き、冷水のシャワーをひたすら浴びてみる。
それでも、まだ――。
体の表面は冷たくて寒いのに、奥が熱くて収まらない。
わたし、どうしちゃったっていうの…?
結局一晩中その熱にうなされ、一睡もできずに朝を迎えてしまった。

