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余熱
第8章 欲する

「…会いたい…っ!」


先生に会いたい――。

その気持ちが胸を突き上げ、涙が溢れるのとともに、零れ出た言葉。


「…じゃあ、下まで降りてきて。」


「えっ」


「実は、もうマンションの前まで来てるんだ。」


咄嗟にベッドから起き上がり、部屋のカーテンを少し開ける。

午後23時の闇に目を凝らすと、

見覚えのある車と、それにもたれかかる白いワイシャツが見えた。

気が付いた時には既に、

わたしは部屋を飛び出し、階段を駆け下り、先生のもとへと走っていた。

そして、夜空を見上げていた先生に抱きつく。

わっと小さく声を上げて驚く先生の声。

鼻の中を満たす紺色の香り。

何故かじわりと涙が溢れてくる。


「…ふふ、走るの速いんだね、意外。」


先生の腕が腰に回される。


二人きりの声じゃない…。


そう思った咄嗟に、腰をふわりと引き寄せられた。

そして、


「…こんな時間に会うってことは、どういうことか分かってるんだよね?」


欲しいと思ったその時に、甘くて、意地悪な、二人きりの声。


先生は、何もかもお見通しなのだろうか。


「…分かってます。」


分かってる。


こんなのいけないことぐらい、分かってる。


でも――。


「…でも、欲しかったから。

でしょ?」


心の中で思っていたことが、先生の口からわたしの耳へ伝わる。


そして先生は、


「…俺もだよ。

欲しくて欲しくて、たまらないんだ。」


と、切なげに囁いたのだった。
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