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余熱
第9章 忘れる

あの夜、階段で下川先生に触れて以来、何度か職場で行為を求められた。

ある時は、葉月にしたように、と夜の教室で、

またある時は、生徒がテストを受けている間、教室のすぐ近くのトイレで。

そして今は、二人きりの職員室で。

「ねぇ…っ

続き…私の家でして?」

下川先生は、秘所を愛撫され達した後、そう誘ってきた。

「えっ…」

「嫌なの?

…じゃあ…」

「嫌じゃ、ないです。

…行きましょう。」

彼女の言おうとしたことを遮り、手を引いて駐車場へと向かう。

じゃあ、の後、彼女が言おうとしたこと、

それは、

「森さんとのこと、バレてもいいの?」

である。

彼女は俺が愛撫を躊躇うと、きまって耳元で歌うようにそう問いかける。

そして、狼狽えた俺に、理性を吸い尽くすようにキスをしてくる。

彼女は俺が葉月にしたことを目撃していただけでなく、

動画で撮影していたと言ってきた。

あの夜のことが形として残ってしまっているのに怯え、俺は彼女に従うことしかできないでいた。

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