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光と首輪、絡まる鎖
第9章 過去
光さんを、好き・・・?
そんなわけない。
あの日、賢児さんに好きって伝えた日から
賢児さんにはわたしの気持ちが
ちゃんと伝わってるって思ってた。
「こはる、車に乗って?」
賢児さんがわたしの手を引いて
車まで誘導すると、助手席のドアを開けてくれた。
少し車を走らせどこかに停車すると、
外はもう暗くなっていて
自動販売機の灯りが車の中に入ってきた。
賢児さんは車から一度出ると
すぐに戻ってきてプルタブを開ける音がする。
「こはる、はい」
あたたかいココアを渡してくれて、
それをひとくち、口に含んだ。
賢児さんは何も言わなくて、
外を走る車の音だけが聞こえる。