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光と首輪、絡まる鎖
第9章 過去



賢児さんは少し深い息を吐いて
ゆっくりと話し始めた。




「光とは高校時代からの付き合いで、
 大学に入った頃から、よくナンパをしてたんだ。

 そこから就職して、光とは違う会社に入った。
 
 久しぶりに会うことになって居酒屋で呑んでる時に
 逆ナンしてきた女の子達と意気投合して
 その1人と一夜を共にした。

 その後も何度か連絡が来て会ってた。
 3週間くらい経った時に『妊娠した』と言われた。

 俺は酔っていて覚えてないんだけど、
 その時に出来た子だと思うって言うんだよ。

 相手は俺よりも5つも年上で、結婚を迫られた。
 子供をおろせなんて言えなくて、そのまま結婚した。
 別に愛情があったわけでもないし、責任を取っただけ。

 入籍してから数日後、彼女は泣きながら電話してきて
 『流産した』と言ったんだ。

 病院に行くと、少しやつれた様な彼女がベッドに居て
 『ごめんなさい』と俺に言ったんだ。

 でもその時に、何故俺はこの人と
 結婚してしまったんだろうと思った。

 あと数日、入籍が遅かったら結婚してなかったのにって
 俺はひどいことを考えていた。

 好きで結婚したわけじゃない。
 ただ子供が出来たから」




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