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光と首輪、絡まる鎖
第9章 過去



その人は、賢児さんと結婚したくて
子供を利用して、結婚を迫ったんじゃないか。

なんとなく、そう思ってしまった。




「それから俺は彼女のことをあまりかまわなくなった。
 好きで結婚したんじゃないんだから、
 遅かれ早かれ、そうなっていたんだと思う。
 
 すると彼女は浮気をし始めたんだ。
 俺にはバレてないと思ってたみたいだけど、
 そんなの態度でわかるよ。

 だから俺はまた光とつるんで、ナンパしたりして
 適当に遊んでたんだ。

 指輪してなきゃ結婚してるのもバレなかったし、
 光も女と遊びたかったら何も言わなかった。

 ある日、光が会社の後輩だっていう瑞貴を連れてきて
 一緒に呑んでた時に、瑞貴が待受画面を
 『これ、俺の彼女なんすよー』なんて言って見せてきた。

 一目でこはるが気に入って、
 『こっちの子?』って聞いたら
 『そっちは彼女のダチの、こはるって奴です』って、
 気に入った子が瑞貴の彼女じゃなくて、
 ちょっと安心したんだ。

 だから『いつか紹介してよ』って言っておいたら
 あの日、こはるに会えることになった。

 でもこはるは光のことばかり見ていて、
 光なんて連れて来るんじゃなかったって思った。

 でも俺は結婚していたから、あまりガツガツ行けなくて、
 そしたら光がこはるに手を出してて、
 やられたって思った。

 俺が結婚してなかったら
 すぐにでもこはるに付き合ってって
 言いたかったのに、あいつに先を越されて戸惑った」




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