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HOTEL・LOVE
第18章 突然告げられた別れ
弁当を食べ終えた晴樹がマドレーヌに手を伸ばし、
その味を褒めたたえてくれた後で香澄は口を開いた。
大きな深呼吸をして、涙を封印して、あのね、と切り出した。
「あのね、じつは・・話があるの」
なあに?と顔を向ける晴樹と目を合わせないようにして香澄は話し出す。
「私ね・・今日で辞めることになったの」
「えっ?なに?辞めるって、なに?
どうして?それも今日って、どういうことだよ!」
またたく間に晴樹の顔は曇っていく。
綺麗な二重の端が、ヒクヒクと痙攣しているのが見えた。
「ちゃんと説明してくれよ。どうして辞めるんだよ?
まさか・・オレとのこと・・?」
「違うの・・あなたのせいじゃないの。
私、仕事を続けられない体になったの・・」
「・・それって、どういうこと?」
たぶん、そんな答えが返ってくるとは予想していなかったのだろう。
さっきまでの曇った顔が、表情を失った。