この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
HOTEL・LOVE
第7章 縮まる距離
休憩時間になってやっと、
呼吸も体も表情も、緩んできた。
神経を張りつめて頑張ったから、
初日には感じなかった空腹も
ちゃんと感じられる。
晴樹は弁当をひろげるとすぐに
ご飯をかきこんだ。
「けっこうがんばりましたね。
黙々とやったから疲れたでしょ」
まずはお茶をすすってから、
香澄も弁当をひろげた。
「先週の土曜は初日だったからね、
忙しいとか言っちゃうとかわいそうだと思って
何も言わなかったの。
初めての日にあれこれ言われても、困っちゃうものね」
おにぎりをほおばりながら、
食べることに夢中になっている男の姿に
目じりを下げた。
ご飯をのみこみながら晴樹が顔をあげる。
口元にひとつ、ご飯粒がついている。
ほら、ここ、と香澄が指し示す。
晴樹は口の回りを手で拭ってから
香澄と目を合わせた。
「笹木さんて・・
気使うのが上手なんですね。
考えたら先週だって土曜日で、忙しかっただろうに
でもなんにも言わないでオレのペースに付き合ってくれて」