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HOTEL・LOVE
第8章 香澄の夜、晴樹の夜


疲れているけど

昼間聞いたあの喘ぎ声がよみがえり

隣りで眠る妻のお腹に

腕を伸ばした。


ゆっくりとさすり、それから

パジャマの中に手を入れようとした時、

パシッと手を叩かれた。



「今夜はだぁめ!疲れちゃったから!」



寝返りを打って背を向ける友里に

晴樹もすぐに背を向けた。


・・なんだよ、オレが疲れてるのは

  お構いなしでさ、

  自分が疲れてるとダメなんて・・


聞こえよがしに荒い鼻息を噴き出したが

友里はピクリとも反応せず、

体を丸めて眠りにつこうとしている。



結婚してからは

セックスは子づくりのために励んできたようなもんだ。

そりゃ好きで一緒になった女だから

愛し合うことメインのセックスだってもちろんある。


でもこうして子供を授かって、

まずは目的を果たした、となってからは

なにか義務のような

習慣のような

そんな平淡なものになった気がする。


だけど、どの夫婦もそんなもんじゃないのかな、と

まわりの友達や会社の同僚たちを見ていて思う。

これからは家庭を守っていくことが

いちばんの任務だ。

いつまでも恋愛気分の

甘いムードでなんかいられない。

そう当たり前のように思ってきた。

ホテル・コパカバーナで働きだすまでは。
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