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HOTEL・LOVE
第10章 震える目撃
部屋から出てきたのは、
晴樹の知った顔だった。
体を寄せ合い幸せそうに微笑んでいる男と女。
男は、
会社の先輩、5歳年上の相澤博文。
女は、
会社の後輩、たしか7つ下の河井恵。
2人とも・・
結婚している。
河井恵は
去年結婚したばかりじゃなかったか?・・
晴樹はもっと体をひっこめて、
絶対に見られないように、息をひそめた。
会社は副業を禁じられている。
2人に見られたらバレてしまう。
でも・・
そんな事言えるわけないか・・
ラブホテルの中でバッタリ会った、
それも一緒にいてはいけないはずの
2人なのだから・・
それでも、
エレベーターの機械音が消えてなくなるまで
晴樹は身を固めて待った。
廊下が静まり返った。
もう人の気配はしない。
ゆっくりと角から顔をだし、
誰もいないことを確かめてから
足音を消すようにしてリネン室までたどり着くと、
そっとドアを開け、素早く閉めた。