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HOTEL・LOVE
第10章 震える目撃


戻ってきた晴樹の様子がおかしいことに、

香澄はすぐに気がついた。

尋常じゃない、とわかるまで

時間は全くかからなかった。



「どうしたの?なにか・・あったの?」



そう聞いた途端、晴樹は

コンドームの入った箱を落としてしまった。

幸い中身は散らばらなかったが、

その箱を拾い上げる動きを

体は忘れてしまったかのように立ち尽くしている。

香澄まで不安に駆られた。



「ねぇ・・なにがあったの?

 普通じゃないよ」



考えることなく、晴樹の腕に触れた。

この手の温もりが

気持ちを和らげられたらいい、と願いながら。


晴樹はその手を受け入れながら、

おおきな、ものすごくおおきなため息をついた。



「今・・客が出ていったでしょ・・」



言われてモニターを見上げると、

チェックアウト済みのサインが出ている。

リネン室の斜め前の部屋。



「そのカップル・・

 オレの会社の先輩と後輩・・

 2人とも結婚してるんだ・・

 不倫・・・・」


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