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ふたりH
第3章 夏休み
テーブルで希に教えて貰ってると、なんか凄くいい匂いがする。

「お前、いい匂いがするな。なんか、つけてるの?」
「うん。香水をちょっとだけ。」
「なんで?」
「いいでしょ、なんでも。ほら、やるやる。」
「へいへい。」

リビングには、ペンを走らせる音がする。

「ここは?」
「あっ、ここはね…」

希が、俺の隣にピッタリとくっついてくる。ドキドキしてきた。

「…った?」
「へっ?」
「わかった?」

希の顔が、ちょっと怖い。

「わっ、わかった。」

なんとか、課題の1つを終わらせた。

「学年トップの希ちゃんは、凄いねぇ。希は、どれ位進んだ?」
「ん?半分位かな?」
「はっ?夏休み今日からだろ?」
「うん。でも、1週間前に、課題のプリントとか日程表配られたでしょ?その日から、やってるから。」
「お前、バカか?」
「えっ?」

少し泣きそうな顔をした。

「いや、違う。だから、泣くな!なっ!」
「泣いてないよ?」
「ならいいけどさ。お前、最近おかしいから。生理か?」

バッチーンッ!!

「っつぅ、なにすんだよ!!」
「昴が、変なこと言うからでしょっ!!もぉ、知らないっ!!」

希は、怒ってリビングを出ていった。

「なんだ、アイツ。でも、やっぱ…謝っとくか。課題教えて貰わないと…」

俺は、静かに階段を昇った。希の部屋の前にたつと、

ヒック…バカ。昴のバカ…
ヒック…鈍感。なんで、気付かないのよ。
スカート、短いのにしたのに。

ん?なんのことだ?

コンコン

「入るぞ。」

希は、咄嗟にクッションで、顔を隠した。

「なっ、お前また泣いてたの?」
「泣いてないっ!!」
「ごめん。」
「知らないっ!!」
「希~」

俺は、クッションから希の腕を剥がした。

「なっ、なに?」

なんとなく、希の涙で溢れた目を見ていた俺は、ごく自然にキスをしてしまった。

ングッ…

「あっ、ごめん。課題、教えて…」
「う、うん。」

あれ?俺、てっきりまた叩かれると思ったけど…。
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