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悪戯な思春期
第1章 テレビの向こうの王子様
 夕日が二人の背後に差す。
 心地よい暖かさが電車を包み込んだ。
(帰ったら……寝よう)

 風呂の湯船に身を横たえて、やっと私は息を大きく吐き出した。
 溜まっていたものが全部流れ落ちていくようだ。
 冬を越えて日焼けを知らない肌は、自分でも眉をひそめたくなるくらい白かった。
 小麦色の肌に憧れる私は、苛々してボディソープを塗りたくった。
 シャワーで流すときには小麦色になってますように、とやけくそな願いを込めて。
 お風呂から上がり、タオルで水しぶきを散らしつつ髪を拭う。
 ペタペタ裸足で歩きながら、家族のいない部屋の圧迫感を感じた。
(もう、三年。慣れたことだ)
 内なる自分に励まされ、夕飯の支度を始めた時だった。
 テレビから悲鳴が聞こえたのは。
『瑠衣さぁああああん』
 先日の司会者とは違う別の女性が叫んでいた。
 若者に人気のバラエティー番組だが、珍しく瑠衣が登場すると聞いてチャンネルを固定していたのだ。
 瑠衣は、今宵は白シャツにジーンズという、ラフでいてどこか魅力的なスタイルだった。
 彼は今、男女で参加する巨大迷路に挑戦していた。
 だが、ハプニング発生のようで、スペシャルゲストの瑠衣だけが一時間経っても出て来ないようなのだ。
『瑠衣さんはまだこの迷路内にいらっしゃるのでしょうか?』
『私は瑠衣様のパートナーだったのですが……先に出るように言われて』
 最近売れ出した女優は不安げに呟く。
 テロップすら紫色で雰囲気を作る。
(瑠衣様なら真ん中の宝箱を開けたくらいで楽しめる方じゃない。あーあー、可愛そうに。随分と待たされて)
 翻弄されて。
 泳がされて。
 瑠衣とはそんな人。
 周りを引き回さずにはいられない、カリスマ性を持った人。
 画面が切り替わり、瑠衣専属カメラマンが彼を映し出した。
 真っ白な壁に囲まれつつも、PV撮影と見紛うほど鮮やかに存在を主張する彼。
『恵ちゃん? 僕をおいていくなんて新しいプレイ? そんなにお仕置きされたいのかな』
 孔雀メイクの片目を無邪気に瞑って見せて、パートナーの女優を窮地に追い込む。
『え? だって瑠衣さんがこっちのルートを先に行けと』
『言い訳は聞かない』
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