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悪戯な思春期
第2章 重ねた王子様は微笑んで

 瑠衣もトークショーでは大抵不自然な間を空ける癖があった。
 全てのカメラが自分に向けられているというのに、じっと考えて答えるのだ。
 その間がどれほどファンサービスか本人はわかっていない。
 いや、わかっていて聴衆の視線を独占しているのだろうか。
 今、西の顔と向きあい、心臓は尋常じゃない速さで鐘を慣らしている。
 警鐘なのか、祝福の鐘の音なのかは判断つかない。
「俺は、瑠衣以上にそばにいる」
(あぁ、なんていう……)

 私は目頭が熱くなるのを感じた。
 人の好みはよりけりだが、学年一の美男子が真剣に思いを伝えてきている。
 それだけではない。
 彼は私が瑠衣の幻想を重ねて見ているのを知った上で、告白している。
 返事を選ぶ権利など、自分にあるのだろうか。
 瑠衣と同じ顔で自分を求めてくる西を。
「も……」
 私は滅茶苦茶恥ずかしいことを言おうとしていた。
 今日の今という空気だから言えたのかもしれない。
 一生思い出す度に赤面することだろう。
「も?」
 西は知ってか知らずか飄々と尋ねる。
(全ての椎名……お前らも全員同罪ね)
(あたしを巻き込むなよな)
(言える訳ないです)
 内なる自分全員を犠牲にして、私は息を吸い込んだ。
「悶え殺して下さい」
 世界が拍手喝采をした。そんな気がした。

 帰りの電車で西は何度も思い出して笑っていた。
 クスクスと聞こえる度にカアッと熱くなる全身を両手で目一杯抱きしめた。
 それこそ痛い位に。
「俺さ……小学生の時に瑠衣を初めてみたんだけど、生き別れた兄弟かと思ったんだよな」
「そう……思っても不思議じゃないよ」
(だって似すぎだもん……声も雰囲気も、性格に仕草だって)
「まぁ、そしたら二十歳上の兄貴になるけどね」
 瑠衣は今三十七歳となった。
 変わらぬ容貌に常に整形疑惑が生まれるが、それは全て根拠のないガセであることを私は知っている。
「やっぱ……甥とか?」
「あり得ないだろ」
 キッパリ言い切られて幾分か切なくなってしまう。
 ずっと瑠衣を想ってきた自分は、まだ彼との繋がりを求めているようだ。
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