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悪戯な思春期
第5章 キャストの揃ったお城
「凄っ……いね。今の」
 またも存在を忘れていた美伊奈が呟く。
 凄いよね。
「やぁあああっっもっ見た? 今の美伊奈も見た? ヤバいよっヤバいよ。雅樹格好良いよ……」
「見たよ」
 余りに興奮している私に、美伊奈は呆れてよしよしと頭を撫でる。
 段々クシャクシャにされるのを感じて、その手を退ける。
「あと一分弱だから、もう勝ったね」
「そうっすかね……」
 笹川は納得出来ないように口を挟む。
 そんなに、会長の勝利を見たいのだろうか。
 私は気づくと彼を睨んでいた。
「雅樹が勝つの。会長より強いの」
 言い聞かせるように云うと、笹川は顔をしかめてスポドリを一口飲んだ。
 ピーッ。
 最後の一分が始まった。

「速攻だ! 走れ走れっ」
 会長は全速力でゴール下につく。
 すぐにこちらのゴールは囲まれた。
 まだ七秒だ。
 速い。
 奈々宮の手からボールが飛ぶ。
 そのまま輪をくぐった。
 雅樹は舌打ちをすると、間髪入れずにパスを出す。
 だが、相手はもう焦って本気だ。
 鋭くカットで奪うと、またシュートを打った。
 二回目はない。
 空中で瓜宮の手がそれを捕らえた。
 そのまま大きく反対のコートに送り出す。
 誰もいない空間に雅樹と奈々宮が駆ける。
 取ったのは会長。
「ほらっ!」
「ほらじゃない」
 私は八つ当たりに笹川の肩を押した。
 隣で美伊奈が笑う。
「あと四十秒……」
 拳を握る。
 一回戦からこんなに盛り上がるのは初めてかもしれない。
 バレーの試合が後ろで始まった。
 しかし観客は移動しない。
「瓜宮! リバウンド来るぞ!」
「……僕が取れる身長だと思う?」
 瓜宮は力なく毒づくが、素直にゴール下を守る。
 三人が円になった。
 ラスト三十秒。
「ねぇ椎名」
「なに?」
 あと二十五秒。
 会長がシュートした。
「今、目隠ししたらどうする?」
 指をクネクネさせながら微笑む美伊奈の頬を見ずにつつく。
「絶交する」
 パスッ。
 あと十五秒。
「やっぱりぃ?」






「お疲れ様!」
 体育館袖で雅樹に冷やしたタオルを手渡す。
「ありがと」
 雅樹はタオルを顔に押し付け、空いている手で頭を引き寄せる。
 まだドクドク言っている雅樹の胸元に顔が綻ぶ。
 頑張ったね。
 格好良かったよ。
「こっち来て」
「え?」
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