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悪戯な思春期
第5章 キャストの揃ったお城
 雅樹のチームが優勝した。

 でも、私にとってはそれが一番とは言えないくらいニュースがありすぎた。
「美伊奈たすけてっ」
「はいはい、頭の中整理しな」
「会長って私のこと」
「好きなんじゃないの」
「呼び捨てで呼ばれるようになったの!」
「良かったじゃん」
「良くない! 全然良くない! なにが良くないって雅樹が、雅樹が怖いっ!」
 そう。
 事態はボールトーナメント閉会式に遡る。

「以上を持ちまして、ボールトーナメント閉会式を閉会致します」
 私は雅樹の優勝にうち震えていた。
 勝ったんだ。
 決勝戦だけ、生徒会の仕事が立て込んで見られなかった。
 雅樹が言うには、一回戦が一番辛かったとのこと。
 あとは楽勝だった、と。
 凄い。
 スポーツで勝つって感覚を知るってどんな気分なんだろう。
 それを尋ねようなんて考えながら片付けをしていた。
「椎ちゃん、こっち持ってにゃ」
「はい」
 本部席の机を運ぶ。
 既に生徒は帰り支度をしに、教室に帰ってしまった。
 ガランとした体育館で、生徒会メンバーだけが黙々と作業にあたる。
「あー、だりぃ」
「笹川少しは我慢しろ」
「でも会長、一日中働いて、また片付けまでって疲れますよ」
「まぁ……そうだな。あとで顧問からジュースが支給されてた奴を配るから、頑張れ」
「ジュース!」
「ジュースっ」
 笹川と羽矢が飛び跳ねる。
「小学生か」
 会長が呟くように突っ込んだ。
「あたしも同じこと思いました」
「会長、先生がお呼びです」
「わかった、すぐ行く。ありがとさん、雛谷」
 雛谷さくら。
 会計。
 サラサラとしたロングの黒髪。
 黒縁眼鏡。
 別館の仕事に行っていたから、今日はあまり会っていない。
「雛谷の方は終わったのか」
「粗方は」
「お疲れ様」
 その途端真っ赤になるさくら。
 羽矢がニマニマして見ている。
「いっ、いえ。会長こそお疲れ様ですっ! じゃあ、えと。笹川とこのダンボール運んで来ますね」
「えー。さくらん巻き込むなよ」
「さくらん言わないで」
「しょうがないなぁ」
 奈々宮は首を傾げて、二人を見送った。
(誰もが気づいているのになぁ)
「あ、そうだ。椎名」
「はい!」
 名前で呼ばれる耐性がない。
「担当の先生に挨拶回れよ。羽矢だけじゃ、な」
 
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