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色絵
第7章 満開
先生との時間を寝てしまうのは、もったいなかったけど、主人に襲われることを恐れているから、あまり熟睡できていないのだと思う。

絵の進み具合を気にするワタシに先生は無理をしてはいけないと体調を気遣ってくださった。

主人はその週毎晩飲んで帰ってきて、迫られて途中で辞めるなんて日もあった。

後から思えば、隠してきた性癖を露にしてしまい、彼なりにワタシとの接し方に戸惑っていたのだと思う。

そんなこともわからなかったワタシは、毎日先生に優しく、激しく抱かれ心の均衡を保っていた。


「さあ、カーテンを開けてごらんなさい。」

百合の絵が完成した。
午前中の終わりに御披露目というのも定着してきた。

この絵の間に先生との関係は大きく変わった。
感慨深い思いでカーテンを開ける。

シャアアア…

続き絵にワタシの全てが刻まれる。

濃い青の着物の裾が円状に広がり、百合が斜めに立ち上がる。
それは歩いているようにも見えた。

そして裾の螺旋にくねる襞は、ヴィーナスの生まれ出た貝殻をイメージさせた。

その中心に半歩足を進めるワタシは、先生の愛を知り生まれ出た百合だった。

視線の先に、その愛する人がいて、そこに向かって、惜しげもなく裸体を晒し、歩み寄ろうとしている。

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