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色絵
第2章 入門
ワタシは庭木をゆっくり眺めながら小路を歩いた。

さっきは緊張して、良く見れなかった部分もあったから…

石畳は一本道だけど、奥に進めるようになっているところがいくつかあり、
路の両脇以外にも沢山の木や草花が植えられていた。

先生に許可を得て、今度もっとお庭を拝見したい。
どこもためいきがでるほど美しく、庭は良く手入れされていた。

カラン、カラン
玄関の扉を開ける。

「熱心な生徒さんですね。」
アトリエから、先生の声がする。

先生がお部屋から出て来られて、
ワタシは息を飲むほど驚き、思わず手を口に持っていってしまった。

「無色無臭と申し上げたでしょう…」

先生はワタシの驚きへの返事をしている。
勘が良いというか、繊細な方なのだろう。

先生はワタシの表情を読み取り心の内を察してくださる。

先生は先程の紺の着物と羽織でなく、真っ白な着物と帯をお召しになっていたのだ。

「いきなりこの姿じゃ、死装束のようで驚かせるでしょう…
ですから午前中は、着物を上に羽織っていたのですよ。」

説明を受けても、ワタシは息を飲んだままだった。

白の着物は先生の儚げな美しさを際立たせていたから…
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