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色絵
第2章 入門
「描く時には、実際に見える部分だけを色付けするんだけどね。

描きながら、この奥に雌しべがあるんだなと思って描くんだよ。
絵心って上手い下手でなく、観察力だと思うな。

貴女は実際、観察力がある。飲み込みも早そうだ。
きっとすぐに上達するよ。」

「そうでしょうか…」

さすがに、ワタシの絵を見たことのない先生が、そこまで言い切れるほどの自信がどこにあるのか不思議だ。
どうしても疑問の返事しか言えなかった。

「大丈夫…
僕が教えるから、
真っ白な紙に色を付けるのと同じだよ。

貴女は真っ白な紙だ。僕が全てを注いで貴女を色付けるよ。」

ワタシが先生に染められる…

表面的な言葉の意味として捉えてしまい、ワタシは顔が赤くなってしまった。

描きながら話していた先生の手が止まり、振り向かれる。

先生はワタシの真っ赤な顔を見て、

「自信過剰な発言だったかな?
でも大丈夫、上達するまでちゃんと教えるから…」

とても照れくさそうにおっしゃった。

ワタシは益々赤くなり俯いてしまう。

「この一輪だけ描かせてね」

また、先生は作品に戻っていった。
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