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色絵
第10章 狂い咲き
「さあ、帯を解いて腰巻きを外し、着物を開いて見せなさい。」

「ここでですか?」

「今、僕が命令しているのですよ。」

貴女は外で肌を晒すということに抵抗があるようだ。誰も訪れることのない塀に囲まれた庭だというのに。

「わかりました。」

帯を外し、その置き場に困る貴女。

「地面に落としていいですよ。」

ハラリ…

舞うように落ちる白帯が美しい。

それは剥がれ落ちる貴女の理性のように純白だった。
下帯も腰巻きもハラハラと地面に落ちる。
僕は近づき地面に落ちたものを集める。

「既に乱れ始めてますね…朝露でしょうか。」

しゃがんだ先生が鼻をクンっと鳴らす。
恥ずかしくて全身熱くなる。

「さあ、着物を開きなさい。」

先生に言われるままに、着物の合わせを掴み左右に開く。

肌が外気に触れ寒く感じる。そしてしばらくすると羞恥から体が火照りだす。

そよ風が吹き爽やかな初夏の日射しが肌を擽った。

「1枚このまま描きますね。」


外の音がする。人の話し声や車の音、見える訳ではないが、普通に生活の音がする中で、1人着物を開いて肌を露出する自分は何だろう。

でも先生に言われると背けない。そんな葛藤の中でワタシはオカシクなっていく。
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