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色絵
第6章 開花
「準備はできましたね。色が溢れて香りまで放ちそうですよ。」

僕は紙に向かう。欲情の色が褪めないうちに形にしたかった。

貴女は切なく物欲しげな憂い顔を僕に向ける。

誘い込むような表情を紙に描き留めた。唇はうっすら開いて、吐息を洩らし続けていた。

乳房は荒い息で上下し、乳首は見えそうなほどだ。
着物の不自然なカーブを紙に写して、その存在を明らかにする。

反対側は着物のシワで表現するので着物の色付けの時になる。

帯の部分を飛ばし、そこから始まる太ももを描く。美味しそうに震え、むしゃぶりつきたくなる。


足袋は敢えて片方だけ脱がせ、無造作に床に落としてある。
牡丹を貪ろうとする僕の存在を絵に残したいからだ。

裸足の親指は、またも反り返っていた。

迫りくる色気に僕は欲望を創作のエネルギーに変えて筆を走らせた。

1時間余りで下絵は完成した。着物の入り組みが少ない分描きやすかった。


「休憩にしましょうか」

一時も僕から視線を反らさなかった貴女は疲れているだろう。

括られたままの貴女に苺を食べさせた。

噎せて果汁が溢れる。
指でなぞって口に戻す。

貴女はその指を口に含んだ。
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