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みぃのお話【番外編】
第6章 『旦那様☆ロマンチスト』~クリスマスのお話~
* * *
狭い我が家。
夫婦二人きりでの暮らしの中では、なかなか隠し事は難しかった。
それでも、マフラーをクリスマスのサプライズプレゼントにしたくて、私は敏さんに隠れて毎日こっそりせっせと編み続けた。
初めての編み物は力加減が難しくて。もともと不器用な私の手では、編む度に編み目が不揃いになってしまう。
なかなか真っ直ぐ編み進めるの大変な作業だったけれど、佳世さんの言う通り何度もほどいては編み直しをくり返した。
――― 一目ひと目に想いを込める。
このマフラーが、敏さんを暖めてくれますように。 どうか、敏さんが気に入ってくれますように。
だんだんと。少しずつだけれど、ただの糸の塊だった毛糸玉は、私の想いと一緒にマフラーへと形を変えていく。
頑張ったおかげで、佳世さんと約束していたクリスマス間近の最後の日曜日までには、何とかマフラーに必要な長さを編み上げることができた。