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ナナノナノカカン
第8章 ナナナノハチ@アマイヒ
ナナはニヤッと笑って言った。
今まで周りに居た男性は漏れなく甘いものが苦手だったため、
こうして喜びを共有できなかったのだ。
まだ食べてはいないがそれでも嬉しく、家につくのが待ち遠しかった。

対して秋景は「可愛い」と言われてしまったことが恥ずかしく―
―照れ隠しをするのだった。

「いや…乱れているナナの方が可愛いよ」
「…もう二つとも私が食べる!」
「許してくれ」
「じゃあ苺タルトの苺だけ全部食べる!」
「それ価値無くなるだろ」

車を走らせながら秋景は笑った。
ナナも釣られ、それから二人は家に着くまで、また様々な話をした。

そして結局、ナナはタルトの苺を全て食べるなどということはせず―
―幾つかのうちの一つを奪い、それで秋景を許したのだった。

「ちょっと気になるんだけど
乱れていないときの私は可愛くないの?」
「いや、可愛いよ。幼くて、意地っ張りで…な」
「…私のも一口あげる」
「どうも」

珍しく甘い一日はそうして終わりに近づいていく。
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