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ナナノナノカカン
第11章 ナナナノジュウイチ@オオトリノオカエリ
苦笑する秋景をぼんやり見つめながら、ナナは思った。
もし断られていたらこんな関係は手に入らなかったのだな、

凄い偶然――いや、運命だったのだな、と。


――

その後、鳳の運転で三人はレストランへ向かった。
鳳はナナの七日間に何があったか知る由も無く、
また秋景を疑う、などということもしなかった。

会話を交えての食事を楽しみながら、
ナナと秋景だけは口にこそ出さないが、秘密を共有していた。

僅かな疼きと共に、ナナは口を開く。

「ねえ鳳」
「何でしょう?」
「逆井さんってとってもいいひとね。
 少し厳しかったけれど、何でも出来るし
 勉強もじっくり教えてくれたわ」

ナナは鳳にそう伝えたあと、秋景に微笑みかけた。
秋景も微笑み、口を開く。

「非常に教え甲斐のある子だな、そう思いましたよ。
 何でも教えてあげたくなるな、と」

鳳だけが何も知らない。
ナナは、いけないと思いつつも優越感に似た心地好さに浸った。
私は鳳の知らない、秋景を知っている。

秋景もまた同じだった。
俺は鳳の知らない、ナナを知っている。

「――彼女は素敵なお嬢様です、本当に」

にこやかに微笑みながら鳳に言った秋景だったが、
ナナはその表情に、どこまでも真っ黒な悪魔を見ていた。

その言葉は、ナナにはこう聴こえた。

≪彼女は素敵な牝奴隷です、本当に≫
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