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綺麗に汚れて
第1章 一目惚れ
残念ながら、私はキスしただけで頬を赤く染められるほど純粋な女の子ではない。
そうだったのは中学生の頃まで。
なのにどうして――――こんなに頬が熱いの?
トイレから出られない…また意地悪な顔して笑われちゃう…
本気でそう思うのに、
コンコンッ
「大丈夫?俺、外で待ってるからね?」
カチャ…
「ふふ…どうしたの?顔真っ赤。あはは」
ほらやっぱり、また笑われた。
なのに彼に呼び掛けられると、すぐにトイレから出てきてしまっていた。
「ファーストキスじゃないんでしょ?」
「ち…違うよっ…」
「………ごめんね。嫌だった?」
…………
そんなこと聞くなんて…
「狡い人…」
「狡い?俺が?」
狡いよ…
「まだ…名前も知らない…」
「そっか」
「ムッ…教えてよ?」
「……もう一回する?」
「やだ!教えて!……んんっ…」
教えてと言っているのに、彼はクスクス笑い―――――また唇を重ねてきた。
さっきみたいな一瞬のキスじゃない。
生温い舌が、私の口内を犯していく…
「ん…」
「どうしたの、声出して。感じちゃった?クスクス…」
「………っ…」
見るからに薄そうなドアと壁の一枚向こう側には、サヤカや、翔太くんヒロくん加藤くんがいるのに…
気付いたら私は彼の腕を掴み、必死に彼に合わせようと背伸びをしていた。
「何か言って。…綾乃ちゃん?」
「………どうしてキス…するの…?」
「可愛いと思ったから」
「…チャラいの?」
「ヒロや翔太よりは、かなり真面目だよ?」
「…………」
嘘臭い笑顔…
――――それにまた、ときめいてしまった。