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綺麗に汚れて
第1章 一目惚れ
 


酷すぎる…

私の扱いも、メガネの馬顔男の顔面偏差値も、

いろんな意味で、いろんなことが、酷すぎる…


と、ショックを受けていたのは、実は最初だけだった。


「あははっ!加藤くんヤバい、面白い~!!」


メガネの馬顔男の名は、加藤くん。

翔太くんはワンルームのアパートで一人暮らしをしていて、小さな机を四人で囲んで私は大笑いしていた。


美人は三日で慣れるというが、お酒の力を借りることで、不細工には三十分で慣れることが出来たのだ。(ほんと私は失礼極まりない女。)


でもとにかく、加藤くんは面白かった。

シラフだと初対面だからか、少し緊張してあまり話せなかったみたいだけど、お酒が入ると喋る喋る喋る。

どれだけ面白くても彼氏候補にはならないが、でも友達になりたいと思わせるキャラ。


だけども…

楽しい時間も長くは続かなかった。


「ごめん…綾乃、サヤカ…」

「「え?」」


電話が鳴り、途中で部屋を出て行った加藤くんが、数分ほどして戻ってきた時、なぜか謝ってきた。


「加藤くん、どうしたの?何かあった?」

「うん…今友達が酔っ払って揉めてるみたいで…一緒にいる奴に、俺じゃどうにもならないから来てって言われて…」


詳しく話を聞くと、どうやら居酒屋で男二人がお酒を飲んでいると、知り合いの男が来たらしい。

で、その知り合いと一人の男の仲が元々悪くて、喧嘩になってしまったのだとか。

だから喧嘩し出した男と一緒にいた友達が、加藤くんに電話をして助けを求めてきた。

という、聞いてるだけでややこしい面倒な話。


「っていうわけだから、ごめんけど俺行かないといけないんだ…」

「そっかぁ…まぁ、友達が揉めてるなら仕方ないね。加藤くん、喧嘩の仲裁した後は戻ってくる?」

「うん。早めに戻れるようにするから、ほんとごめん…」


きっと加藤くんは面倒見がいいのだろう。

早々と部屋を出て行く後ろ姿を見ながら、そう思った。



 
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