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綺麗に汚れて
第1章 一目惚れ
 


盛り上げ上手の加藤くんがいなくなり、狭いワンルームの部屋には私とサヤカと翔太くんの三人になった。


「ごめんな?…とりあえず飲もう!」


翔太くんまで謝ってくれて、気を取り直すように再び三人で乾杯した。


「サヤカ、何飲んでるの?」

「杏露酒~♪美味しんだよ。一口飲む?」

「うん。ちょーだい。」


あーあ…やっぱりイチャイチャしてるし…

サヤカと翔太くんにはこのまま結ばれて欲しいと思うけど、でも今現在、私は居心地が悪く思う。

早く加藤くん帰ってきてくれないかなぁ。


この場をつまらなく思いながらチビチビと缶ビールを飲んでいると、翔太くんが話し掛けてきた。


「てか綾乃、まじでヒロと連絡取ってあげてよ。ヒロの奴、綾乃こと紹介しろしろってしつこいんだよ。」


アンタもしつこいけどね。…と言いたくなる。


「だからサヤカにも言ったけど、嫌なんだってば。タイプじゃないもん。」

「ヒドッ!!綾乃、ズバッと言い過ぎ!!」


別に本人いるわけじゃないんだから、ズバッと言ってもよくない?

ヒロヒロヒロって、こっちはその気のない名前を出されすぎて、既に聞き飽きてしまった。

こういうのって面倒。


やっぱり家に帰りたい。泊まりたくない。

そんなことを思い始めてきた頃、翔太くんの携帯が鳴り出し、電話相手としばらく話した後、翔太くんは話し出した。


「電話、加藤からだったんだけどさ…」

「もうこっち戻ってくるって?」

「いや……なんか面倒なことになってるっぽくて、今から男二人をここに連れて来ていいかって。」

「は…!?」

「ごめん!サヤカ、いい?」


って、おい。

私が『は!?』ってリアクションしてるのに、サヤカに聞くのかよ。


「えー…まぁ、いいよ。翔太の家だし、なんか大変なことになってるみたいだからしょうがないよね。」

「ごめんな?綾乃もごめん!」

「……ん。」

「それと……もう一つ、ごめん。」


もう一つごめん??


「その…今居酒屋で喧嘩してるっつー奴さぁ…」

「うん?」

「………ヒロなんだわ」


…………

……最悪だ。



 
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