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可奈さん
第7章 恋敵
「お待たせしました、野菜炒め定食です」


さほど広くない店内に客が3人、別々の席で食事をとっている。


「ん、なんだその男は」


振り向いてこちらを見た修平という男は、可奈さんに訊ねながら品定めするように俺をジッと見た。


なんだよ…


後ろに流した髪に黒いバンダナみたいなやつを被り、左胸に白で"たかひら"とプリントされた黒いTシャツ姿。
ちょっときつくみえる奥二重の眼差しが、可奈さんに戻ると直ぐに緩んだ。


「井口拓也さんよ、お友達なの」

「そっか」

「よろしくお願いします」


俺は立ち上がり、ペコリと頭を下げた。「あ、どうも」と言って厨房から出てきたそいつは「でけぇなぁお前」と言って笑い俺の肩をポンと叩いた。


「ん?バイク乗るの?」


座席に置いたメットを見つけてちょっと親しげな口調になる。


「はい、ドラッグスターです」

「へー、いいねぇ」



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