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可奈さん
第7章 恋敵
その後、修平さんと小山さんは可奈さんの武勇伝について俺にいろいろと話してくれた。
たとえば、
この店が開店して間もない頃、毎日のように昼食を取りに来ていた可奈さんが、「やっぱり花って、きれいに咲いくれてありがとう、って、褒めながらお水をあげるとちゃんと応えてくれるのね、…もう随分長く咲いてくれてるわ、嬉しいな」と満足げに語っていたその花が、今も洗面所の入口で整然と咲き誇っている鉢植え仕立ての造花だったとか、犬を散歩させているおばさんにいきなり手を振って駆け寄っていったものの、人違いだったとか。
それは、社長秘書をしていたなんて嘘っぱちではないかと思わせるものばかりで、俺がこれまで可奈さんに抱いていた印象を覆すには充分だった。
ここで笑っている可奈さんは、もうアイツを待っていた可奈さんじゃない。
道端で泣いていた可奈さんじゃないんだ。
たとえば、
この店が開店して間もない頃、毎日のように昼食を取りに来ていた可奈さんが、「やっぱり花って、きれいに咲いくれてありがとう、って、褒めながらお水をあげるとちゃんと応えてくれるのね、…もう随分長く咲いてくれてるわ、嬉しいな」と満足げに語っていたその花が、今も洗面所の入口で整然と咲き誇っている鉢植え仕立ての造花だったとか、犬を散歩させているおばさんにいきなり手を振って駆け寄っていったものの、人違いだったとか。
それは、社長秘書をしていたなんて嘘っぱちではないかと思わせるものばかりで、俺がこれまで可奈さんに抱いていた印象を覆すには充分だった。
ここで笑っている可奈さんは、もうアイツを待っていた可奈さんじゃない。
道端で泣いていた可奈さんじゃないんだ。