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可奈さん
第8章 涙
「何をです?」
ポロポロとこぼれる涙をティッシュが受け止める。
「好きです、愛してますって…。
死んじゃうなんて…、もうどこにもいないなんて、グスッ…ずっと言いたかったのに、もう永遠に言えない」
…クッ…
「忘れてください」
「グスッ…忘れ…られない…」
忘れてもらわなければ困る。
「可奈さん、あの雨の日、あの女の人が…、みんな持ってってくれたじゃないですか。
ひとつ残らず全部、全部ですよ」
「………」
「俺、うまく言えないですけど…、だからもう、つらい事に縛られる必要なんてどこにもないじゃないですか。早く全部忘れてまた誰かを…」
「もう、誰も好きにならない」
「え…」
それも困る。
「もっと素敵な人がそこらじゅうにいますよ。蕎麦屋にだって、うどん屋にだって」
「そ、蕎麦は嫌い」
ポロポロとこぼれる涙をティッシュが受け止める。
「好きです、愛してますって…。
死んじゃうなんて…、もうどこにもいないなんて、グスッ…ずっと言いたかったのに、もう永遠に言えない」
…クッ…
「忘れてください」
「グスッ…忘れ…られない…」
忘れてもらわなければ困る。
「可奈さん、あの雨の日、あの女の人が…、みんな持ってってくれたじゃないですか。
ひとつ残らず全部、全部ですよ」
「………」
「俺、うまく言えないですけど…、だからもう、つらい事に縛られる必要なんてどこにもないじゃないですか。早く全部忘れてまた誰かを…」
「もう、誰も好きにならない」
「え…」
それも困る。
「もっと素敵な人がそこらじゅうにいますよ。蕎麦屋にだって、うどん屋にだって」
「そ、蕎麦は嫌い」