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可奈さん
第8章 涙
俺はなんでこの人を責めているんだろう。

いつまでも後ろ向きな可奈さんが歯痒いんだろうか。
俺の気持ちに気付かない彼女が腹立たしいんだろうか。


「でも俺の中にも残りましたよ、可奈さんが本気で誰かを愛したって事」


俺って…アホだな


「ヒッ…ヒクッ…う、うぁ~~~ん」


げ、ヤバイ…
なんだよ急に


俺は周りの視線から可奈さんをかばった。


「ふぇ…ふ、ふぇ~~」


ライダースジャケットのファスナ-を外し、懐に可奈さんを隠した。

そして仕方なく、仕方ないんだと自分に言い聞かせて、震える肩を抱きしめた。

可奈さんは俺の背中に両手を伸ばし、抱きしめ、胸に顔を埋めて泣いた。

子供みたいに無様にびーびー泣きじゃくる。


「俺、もう可奈さんが泣くとこ見たくないんですけど…」

「うぅッ…うぇッ…いつも、ごめ…んね…」

「笑っていて欲しいんです」

「うんっ…グスッ…はい…ヒクッ…」



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