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可奈さん
第9章 熱
俺はこの時マジでアイツを憎んだ。腹の底から怒りがわいた。

彼女の肩に震える両手を置いて、同じ目線になるように屈んだ。
悪い事でもしたかのように、すまなそうに俺を見つめてくる瞳。


「もう、待たなくていい」

「………」

「バイクに乗りたければそう言ってください」

「………」

「俺はあの人とは違います」

「そ、そうよね。
…わかった」


ほっと微笑みコクリと頷いた可奈さんは、俺の視線を避けるように俯いたまま黙り込んでしまった。


「可奈さん…」

「あの、今日は帰った方がいいと思う」

「……どうして」

「どうしても、よ…」

「……、訳を聞くまで帰りません」



可奈さんの沈黙は続いた。

きっと俺が怖いんだ。
それは正しい。

こんなデカイ男に肩を掴まれ、熱をおびた目で見つめられてる。
しかも俺の胸は高鳴り、熱くなった股間はドクンドクンと脈打っていた。



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