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可奈さん
第9章 熱
夢見心地で見とれている俺に、そのふっくらとした小さな唇は少し尖って柔らかく押し付けられた。


「…ン…」


チュッ……、…チュッ……



「あ、あの…」


俺は可奈さんに肩を押され、そのまま布団に横たわった。

横向きになった俺に手を伸ばし、可奈さんが首にしがみついてくる。

細かく震えてる躰を堪らなくなって抱きしめると、ほのかに石鹸の香りが漂ってきた。俺は香りに酔い、深く息をしながら可奈さんの腰と背中を強く引き寄せて躰を密着させた。


首に息がかかる。


唇が首筋を上がってくる。右手が頬に添えられ、熱い吐息を吐いた唇が探るように右耳にキスをした時、くすぐったさと快感にビクンと躰が反応した。


「か、可奈さん…」


耳たぶで遊ぶ舌と唇と吐息が皮膚を目覚めさせ、甘い痺れが全身に広がっていく。




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