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可奈さん
第11章 葛藤
「瀬川……瀬川………あっ、え?まさかお前…」

俺を指差し目玉をひんむいて口をパクパクする怪物クン。


「す、スペシャルシーフードの……」

「そ、彼女」


えへっ、言っちゃった。


ヤツは壁にもたれ、ズリズリと床に座り込んだ。


「おい、大丈夫か木田、驚かせてすまん」


俺は笑ってヤツの肩を2度叩いた。


そりゃ驚くよな。
みんなの憧れの人だ。


「タク……やめとけ、あの人はどう見ても愛人だ」

顔を上げ、真面目な顔で訴えてくる。


「あ、それ……今は違う」

「え?」

「男は亡くなった」

「……あの紳士死んだの?」


俺は膝を折り、ヤツの視線に近づいてコクンと頷いた。


「なんで…」

「病気らしい」

「そうか……。人がいつ亡くなるかなんてわからないもんなんだな。……ちょっと待てよ」


木田の重い手がドンと肩に乗った。


「じゃあお前、若いカモメやってんの?」

「は?何それ」

「あ、ヤモメか」

「それってもしかしてツバメじゃね?」

「そうだっけ?」

「そうだよ確か」



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