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可奈さん
第11章 葛藤
「若いツバメかぁ。ある意味羨ましい……」

「ツバメじゃねえし」

「お前今ツバメって言ったろ」

「よく聞けよ、若いツバメって愛人の事だろ?俺は違う」

「ツバメじゃなくてマジメか……じゃあ相手も真剣って事?」


う、言葉に詰まる。


「それは、まだ何とも……でも…」

「だよな、年いくつだよ」

「34」

「うーむ、需要と供給の一致か」

「は?なんだよそれ」

「お前は若くてエネルギーが有り余ってる、一方あの人は男を亡くした寂しい大人の女……な?」

「……」

「羨ましいぜ…。
愛の手ほどき受けてんのかぁ」


ため息を空中に撒き散らして目を細める不気味な顔。


「や、やめろっ、その顔でへんな妄想するな!」


俺はヤツの肩を揺すってこっちの世界へと引き戻した。


「井口ー!配達だぞー!」


店長から声が掛かる。


「はーい、すぐ出ます。じゃあな木田、お疲れ」

「あ、飲み会来いよ、人数に入れとくぞ、たまには付き合え」

「あぁわかった」


立ち上がる木田を残し、俺はカウンター越しにピザ箱2個を受け取った。


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