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可奈さん
第11章 葛藤
──もう、誰も好きにならない
何度も打ち消してきた言葉が霧の中から浮かび上がる。
何気ない木田とのやり取りが、スキップしていた俺の足を止めた。
恋に悩む俺。
愛にさまよう子猫ちゃん。
はっきり言える事は、俺は可奈さんが好きだという事だけだ。そして嫌われてはいないって事。
あぁ、早く彼女とちゃんと繋がりたい。
でも彼女の本当の気持ちはわからない。
"たかひら"に行きたくなった。
可奈さんの事を話せるのはそこだけだった。
バイトを終えたらバイクを乗り換えて速攻で修平さんに会いに行こう。閉店ギリギリで間に合うはずだ。
よし、そうしよう。
他愛ない話をしてあの人を近くに感じたい。
俺はちらっと時間を確認してから、得意先のチャイムを鳴らした。