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可奈さん
第11章 葛藤
「ホントか?
助かったー。戻って来たら夕飯ごちそうさせてもらうよ」

「ありがとうございます!」

「麻由、上がっていいよ、あとは俺が片付けるから。気をつけてな」

「はい、すみません修平さん。拓也さんありがとう、助かりました」


麻由さんがペコリと頭を下げた。


「お安いご用です、麻由さんお疲れさまでした」


俺はおにぎりやおかずが入った紙袋を受け取り、教えて貰った可奈さんの職場へと歩き出した。

ぶらついた事のある駅前だからすぐに見当はついた。

ここから10分もあれば充分だ。
早足で、7、8分。
かけ足で、5、6分。
バイクならもっと速いけど荷物が乗せられない。

チッ…


駅前のロータリーから続く通りはゲーセンやコンビニ、ヘアサロンが並んでいる。雑貨屋やファストフード店を横目に見ながら少し行くと、"ブティック 雅"の看板を見つけた。

あれだ。


店の前にはトラックが止まっていて、荷下ろしが済んだのか、運転手が店員にサインを貰っている。

可奈さんじゃないな。


「ご苦労さまでした」


そう言って店内に戻りかけたその女性に、思い切って声を掛けた。



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