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可奈さん
第11章 葛藤
ピンクの淡い口紅がかわいい。そこの腹ぺこババアとは大違いだぜ。

それにしても弟とはなんだ、勘違いも甚だしい。


「あら、弟さんじゃなかったの?さっき電話で修平さんが……」

「瞳さん、きっと瞳さんの聞き違いですよ。ふふっ、こんな弟がいたら私も嬉しいですけどね」

「まぁ、ごめんなさい。弟分って言ったのかもしれないわ、アハハ…あ、亜美ちゃんも呼んで来なきゃ…」


そう言うとそそくさと奥に消えた。


「彼女ここの店長さんなの。ああ見えてやり手なのよ、ふふっ」


て……店長さん?


「へー、なんだか面白い人ですね」

「凄くお世話になってるの」


今日の可奈さんはイヤリングをしていた。


「まだ仕事終わらないんですか?」

「そうなの、商品が届くのが遅れちゃって。これから値付けをしなくちゃ」

「大変ですね」

「意外と楽しいわ」


バタバタと足音がする。


「やだホントにイケメン。可奈さんぜひ紹介してください」

「そうよそうよ、ちょうど年も近そうだし、亜美ちゃんとお似合いじゃない、いいわね~」


やだね。

俺はすっくと立ち上がった。


「あ、俺、修平さんを待たせてるんで帰ります」



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