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可奈さん
第11章 葛藤
修平さんがデカく見えた。俺よりずっとデカく。
俺はどうなんだ。
俺には何もない。
こんなんで可奈さんと付き合えるわけがない。
もっとちゃんとしないと結婚なんて出来ない。
け、結婚?
俺が?
「おい拓也、聞いてるか?」
「え?」
「お前、可奈の事好きなんだろ?」
「……はい」
「可奈は?」
「……わかりません」
両思いだと思いたい。
「お前、今の俺の話で、可奈と結婚とか考えてないよな?」
慌てて何度も首を振った。
「ちゃんと稼がなくちゃ無理ですよね」
「いや、そういう意味じゃない」
「え?」
「お前はまだ若い」
「わかってます」
「そうか、それならいい」
若いから何なんだ。
金なら稼いでやる。
このままでいいと思っていたわけじゃない。
夕食のお礼を言って店を出る。
澄んだ空気が街の淀みを隠し、一時の静寂を待っていたかのように秋の虫が鳴き出した。
店の明かりが消えるのを確認して、俺は愛車を走らせた。
寒くなる前に、また可奈さんと走りたい。
次は手を繋いで歩きたい。
袖口から吹き込んでくる風が、昂る気持ちを冷やしていく。
俺はどうなんだ。
俺には何もない。
こんなんで可奈さんと付き合えるわけがない。
もっとちゃんとしないと結婚なんて出来ない。
け、結婚?
俺が?
「おい拓也、聞いてるか?」
「え?」
「お前、可奈の事好きなんだろ?」
「……はい」
「可奈は?」
「……わかりません」
両思いだと思いたい。
「お前、今の俺の話で、可奈と結婚とか考えてないよな?」
慌てて何度も首を振った。
「ちゃんと稼がなくちゃ無理ですよね」
「いや、そういう意味じゃない」
「え?」
「お前はまだ若い」
「わかってます」
「そうか、それならいい」
若いから何なんだ。
金なら稼いでやる。
このままでいいと思っていたわけじゃない。
夕食のお礼を言って店を出る。
澄んだ空気が街の淀みを隠し、一時の静寂を待っていたかのように秋の虫が鳴き出した。
店の明かりが消えるのを確認して、俺は愛車を走らせた。
寒くなる前に、また可奈さんと走りたい。
次は手を繋いで歩きたい。
袖口から吹き込んでくる風が、昂る気持ちを冷やしていく。