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可奈さん
第13章 思い込み
球の跡がたくさん付いていた筈の壁は、その痕跡を消して黒ずみ、時間の経過を感じさせた。
「舞ちゃんは元気ですか?」
「うん、どうにか卒業できそうだ。よくここで2人遊んでたなぁ」
「はい、ずっと会ってないから、いま会っても分からないんじゃないかな」
ポニーテールをしていた舞ちゃんは、俺を見付けるといつも駆け寄ってきた。
「舞は大きくなったらお兄ちゃんと結婚する」と言って皆を笑わせていたおませな少女。
もう大人だもんな。
壁にもたれた松井さんは煙をフーッと吐き出し、俺はその行方を眺めていた。
「親父さんにも世話になった……」
「俺も松井さんにお世話になりました」
「あはは、俺はキャッチボールをして遊んでただけだけどな」
俺より小さくなった松井さんは、もう一度煙を吐いて空を見上げた。
「拓也君、ここで働けよ」
「え」
「拓也君ならやっていけるよ。最近忙しくなってきて人手が足りないし、かといって人を雇っても若いもんは直ぐに辞めちまう」
「舞ちゃんは元気ですか?」
「うん、どうにか卒業できそうだ。よくここで2人遊んでたなぁ」
「はい、ずっと会ってないから、いま会っても分からないんじゃないかな」
ポニーテールをしていた舞ちゃんは、俺を見付けるといつも駆け寄ってきた。
「舞は大きくなったらお兄ちゃんと結婚する」と言って皆を笑わせていたおませな少女。
もう大人だもんな。
壁にもたれた松井さんは煙をフーッと吐き出し、俺はその行方を眺めていた。
「親父さんにも世話になった……」
「俺も松井さんにお世話になりました」
「あはは、俺はキャッチボールをして遊んでただけだけどな」
俺より小さくなった松井さんは、もう一度煙を吐いて空を見上げた。
「拓也君、ここで働けよ」
「え」
「拓也君ならやっていけるよ。最近忙しくなってきて人手が足りないし、かといって人を雇っても若いもんは直ぐに辞めちまう」