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可奈さん
第13章 思い込み
「やれるかな」

「自転車組み立てたんだから大丈夫だ、あははは」


門から次々と人が入って来た。


「お、そろそろ昼休み終わりだな、みんなが戻ってきた。あ、ちょうどいいや、ほら、親父さんの車……」


駐車場に入って来た白いセダンからスーツを着た親父が降りてきた。


「社長、拓也君来てますよ」


いつも作業服姿の親父がスーツを着ているのは、得意先回りや商談の時だ。
でも俺には、ホテル街を女と歩いていた数年前の記憶が蘇ってきた。


「え、あれ社長の息子?」
「えっ、拓也君?」
「マジか、やっぱデカイな」
「そういえば似てる」


注目を浴びた俺は「井口拓也です、宜しくお願いします」と頭を下げた。


「よお、久しぶりだな」「はじめまして、よろしく」と挨拶し、扉の向こうに消えて行くみんな。


「社長、お疲れさまでした」

「うん、例の件、上手くまとまったよ。あ、松井さん、コイツに今やってる作業見せてやって下さい」

「え、俺に?」


いきなりかよ。





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