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可奈さん
第13章 思い込み
「拓也、2階行って作業服貸して貰え、早くな」
なんだあの親父は、人の予定も聞かずに次々と事を進めやがって。
俺はぶつくさ言いながら2階に上がり、事務員のおばちゃんに作業服を借りて階段を下りた。
「こっちこっち」
松井さんに呼ばれ、機械が並んだ通路を急ぐ。
ウィーーーン
旋盤加工の金属音が耳に懐かしい。
鉄やアルミの棒があらゆる形に削られて姿を変え、ピカピカに輝いて完成する様は、正に芸術だと思う。
俺は螺旋状の切り粉が好きで、落ちているのを見つけては集めた記憶が蘇ってきた。
松井さんの待つ作業台に並んで立つ。
「ほらこれ、エアーチャック。こいつをオーバーホールするからよく見とけ」
慣れた手付きで次々とチャックを分解し始めた。
「無駄な部品は1つもない。ちゃんと手入れして、きちんと動いてもらわないとな」
60個近い部品を洗浄油で洗い、摩耗や破損がないか確認してまた組み直す。
俺もやりてー!
「あははは、そんなに顔を近付けたら汚れるぞ」
「す、すみません」
「拓也、仕事の邪魔はするなよ」
横から親父がそれだけ言って立ち去った。
なんだあの親父は、人の予定も聞かずに次々と事を進めやがって。
俺はぶつくさ言いながら2階に上がり、事務員のおばちゃんに作業服を借りて階段を下りた。
「こっちこっち」
松井さんに呼ばれ、機械が並んだ通路を急ぐ。
ウィーーーン
旋盤加工の金属音が耳に懐かしい。
鉄やアルミの棒があらゆる形に削られて姿を変え、ピカピカに輝いて完成する様は、正に芸術だと思う。
俺は螺旋状の切り粉が好きで、落ちているのを見つけては集めた記憶が蘇ってきた。
松井さんの待つ作業台に並んで立つ。
「ほらこれ、エアーチャック。こいつをオーバーホールするからよく見とけ」
慣れた手付きで次々とチャックを分解し始めた。
「無駄な部品は1つもない。ちゃんと手入れして、きちんと動いてもらわないとな」
60個近い部品を洗浄油で洗い、摩耗や破損がないか確認してまた組み直す。
俺もやりてー!
「あははは、そんなに顔を近付けたら汚れるぞ」
「す、すみません」
「拓也、仕事の邪魔はするなよ」
横から親父がそれだけ言って立ち去った。