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可奈さん
第13章 思い込み
「うるせぇ、わかってるよ」

「あははは、なんだ反抗期か?」


手を休めずに松井さんが笑う。


「俺は、不誠実なヤツが嫌いなだけです」

「おいおい、あんなに信頼できる人はいないだろ。そのお陰で仕事も順調だし業績も延びてるんだ。長年……」


「それは表向きです」


親父を褒める松井さんに、親父の正体をぶちまけたくなった。


「家族を裏切ってますから」

「ん?」


俺は2年前に見た事を暴露してやった。貯まっていたものがやっと吐き出せる。


「……そうだったのか」

「情けないでしょう?
俺に見られてるのに、誤解だ、って、それだけですよ」

「若い女だろ」

「えぇ」


それまで俺は、親父をずっと尊敬していた。
憧れてもいた。


「それは、舞だ。間違いない」


………

なんだって!?


「えっ?」

「すまん」

「えっ?それじゃあ親父は舞ちゃんと?」


あの野郎、くっそ汚ねぇ奴じゃないか!


「おいっ、拓也君、待て、違うっ」


物凄い力に腕を掴まれ、俺は扉の外に引っ張られていった。


「何が違うんですか!」


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