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可奈さん
第13章 思い込み
「マジかよ」
「そ、マジ」
「そうだよな。タクにとってはそれが一番良い選択だ」
「まあね」
工場に行った次の日、俺はバイト先の店長に辞める事を告げた。
木田とゆっくり話す機会がなかった俺は、シフトが同じ日の閉店後、店を出たところでようやくこれまでの経緯を打ち明け、長い立ち話になった。
「じゃあ、残り20日か」
「よろしくな」
「拓也サマに会えなくなるなんて、木田ちゃん寂しいっ」
両手で顔を覆い肩をすくめるキモい木田。
「な、泣くなよ木田、俺まで辛くなるだろ、ばかだなあ」
こういう冗談が言えなくなるのがちょっと残念。
「あの人の、瀬川さんのため?」
「いやべつに。いや、そうかもな」
一緒に食事する場所が牛丼屋ってわけにはいかないし、バイクばかり乗ってもいられない。
きちんとお洒落してホテルのディナーに誘いたい。
飲みに行くなら居酒屋なんかじゃダメだ。
もうガキじゃないんだから。
──キミにはまだ早い
ヤツが遺した言葉が、彼女に相応しい男になってやると意地を張らせているのは確かだった。
「そ、マジ」
「そうだよな。タクにとってはそれが一番良い選択だ」
「まあね」
工場に行った次の日、俺はバイト先の店長に辞める事を告げた。
木田とゆっくり話す機会がなかった俺は、シフトが同じ日の閉店後、店を出たところでようやくこれまでの経緯を打ち明け、長い立ち話になった。
「じゃあ、残り20日か」
「よろしくな」
「拓也サマに会えなくなるなんて、木田ちゃん寂しいっ」
両手で顔を覆い肩をすくめるキモい木田。
「な、泣くなよ木田、俺まで辛くなるだろ、ばかだなあ」
こういう冗談が言えなくなるのがちょっと残念。
「あの人の、瀬川さんのため?」
「いやべつに。いや、そうかもな」
一緒に食事する場所が牛丼屋ってわけにはいかないし、バイクばかり乗ってもいられない。
きちんとお洒落してホテルのディナーに誘いたい。
飲みに行くなら居酒屋なんかじゃダメだ。
もうガキじゃないんだから。
──キミにはまだ早い
ヤツが遺した言葉が、彼女に相応しい男になってやると意地を張らせているのは確かだった。