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可奈さん
第13章 思い込み
歩道を歩いて来た女性2人が、こっちを見てすぐに視線を戻し、顔を見合わせて足早に通り過ぎた。


「キミ、その下品な言い方はやめたまえ。俺と彼女は純粋に……」

「純粋に?」

「ひ、み、ちゅ」


木田は人差し指を口に当て、くるりと背を向けて歩きだした。


「おい待て木田っ」


ヤツに追い付いて腕を掴む。


「白状しろ」

「わ、わかったわかった。痛いから離せ。じつは……致しました」

「は?」

「だから、致しました」

「成功したのか」

「成功?むふっ、確かに性交致しました」


照れながらくだらないギャグを飛ばす木田。


「アハハ、お前バカじゃねえの? おめでとう、よかったな」

「まあな。俺は葉月ちゃんが大好きだー!」


バンザイした手を無理やり下げさせる。


「叫ぶなよ、こっちが恥ずかしいだろ」

「タク、お前も頑張れよ。あんまり背伸びし過ぎないようにな」


背伸び?


「あ、背伸びなんかしなくてもデカいか、アハハ」


木田とはそこで別れた。


背伸びどころか俺は間違いなく成長してるぜ、お前もだろ木田。


遠くなる友達の背中と俺自身に、熱いエールを贈って家路についた。




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