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可奈さん
第13章 思い込み
秋は人恋しい季節だなんて、いったい誰が言い出したんだ。
飯はうまいし空気もうまい。ため息よりも深呼吸。
活動するにはもってこいの季節じゃないか。
きっとどこかの詩人モドキが、感傷に浸り、孤独に酔いしれて編み出したキザな台詞にちがいない。
今、俺は人恋しい。
携帯を取り出し、暮れかけの空めがけてため息をついた。
街路樹の枝に残された葉っぱは数える程になっていて、風を待ちわびていたかのように仲間のもとへと散り急ぐ。
指先が冷たい。
俺は意を決して親指を動かした。
──お久しぶりです!
寒くなってきましたね
もう冬ですね
今度ご飯食べに行きませんか?
俺はいつでも腹ペコです
彼女は待つ癖がついていて、きっと連絡を待っている。
自分にそう言い聞かせてから送信した。
メールひとつでなぜこんなに勇気がいるんだ。
枝の先でひらひら揺れてる葉っぱはまるで俺。
落ちるなよ。
耐えろ。
負けんな。
あっ……
力無く落下していくソイツに舌打ちすると同時に携帯が震えた。
飯はうまいし空気もうまい。ため息よりも深呼吸。
活動するにはもってこいの季節じゃないか。
きっとどこかの詩人モドキが、感傷に浸り、孤独に酔いしれて編み出したキザな台詞にちがいない。
今、俺は人恋しい。
携帯を取り出し、暮れかけの空めがけてため息をついた。
街路樹の枝に残された葉っぱは数える程になっていて、風を待ちわびていたかのように仲間のもとへと散り急ぐ。
指先が冷たい。
俺は意を決して親指を動かした。
──お久しぶりです!
寒くなってきましたね
もう冬ですね
今度ご飯食べに行きませんか?
俺はいつでも腹ペコです
彼女は待つ癖がついていて、きっと連絡を待っている。
自分にそう言い聞かせてから送信した。
メールひとつでなぜこんなに勇気がいるんだ。
枝の先でひらひら揺れてる葉っぱはまるで俺。
落ちるなよ。
耐えろ。
負けんな。
あっ……
力無く落下していくソイツに舌打ちすると同時に携帯が震えた。