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第13章 思い込み

近い将来、修平さんと麻由さんに子供ができたら、小山さんと子供の話をするようになるんだな。

俺と木田もそうなっていくんだろうか。
その時俺は可奈さんと……。


「俺、就職決まりました」


ここで言わずにいつ言う。


「えっ」
「えっ」


左右から同時に同じ音が聞こえた。


「い、いずれは親父の会社を継ごうかと……」

「そうなのか？」
「ほー、それは凄い」

「意気込みはあります」

「がんばれ」
「がんばれよ」

「はい、ありがとうございます」


ちらりと隣に視線を向けると、可奈さんが2度頷いた。以前より鮮やかな、赤い唇を閉じたままで。


「あの、可奈さん、今度…」

「あ、ちょっとごめんなさい」


ご飯ごちそうします、という言葉は彼女に届かなかった。携帯を素早く耳に当てる仕草は、誰かからの連絡を待っていたに違いない。


「はい。ええ、大丈夫です。……わかりました、あの、少し待って頂く事できますか？──はい、すぐ戻ります、では失礼します」