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可奈さん
第13章 思い込み
「瞳さんから?」


俺を挟んで修平さんが、訳知り顔で問いかける。


「ええ、すぐ行かなくちゃ」


携帯をしまい、席を立つ可奈さん。


「で、どうするつもり?」

「……お受けするわ」


えっ?

なに?

なに?


「なにかあったんですか?」


思わず立ち上がった。


「ここを離れようと思ってるの」

「えっ?」


どゆこと?


「別の場所でお店を出す事になったの」


なんだ、そういう事か。


「それってどこですか?」

「それは、まだわからない」


「じゃあ決まったら教えてください」

「……」

「可奈、瞳さん待ってるんだろ、金は後でいいから」

「あ、うん。じゃあ、私これで」

「可奈さん、待っ…」

「拓也、お前は座れ」


修平さんに肩を押さえられ、俺はガクンと椅子に落ちた。

スリットの入ったタイトスカートから伸びた足元は、いつものパンプスではなく、ハイヒールだった。扉を開けてから襟元にそっと巻かれた毛皮は、きっと高いものなんだろう。



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